人たらし : ことまとめ

人たらしとは、人をだますこと、もしくは、だます人のこと。

「たらす」は漢字で「誑す」と書き、巧みな言葉で騙したり、甘い言葉で誘惑することを言います。
女性を次々に誘惑してもてあそぶ男性を「女たらし」というように、「人たらし」も良くない意味として辞書に載っています。

しかし、多くの人は「人たらし」と聞くと『人の心を掴み、誰からも好かれる人』をイメージし、良い意味として使っているのではないでしょうか。
実際、「人たらし」になるためのハウツー本も数多く出版されています。

このように良い意味として使われるようになった背景には、司馬遼太郎氏の影響がありそうです。
司馬遼太郎氏は著書『新史太閤記』の中で、豊臣秀吉が成功した理由を「人たらし」の天才であったからと記しています。
織田信長の草履を懐に入れて温めて関心を買った話は有名ですが、それ以外にも、賤ヶ岳の戦いで熱さに苦しむ負傷兵のために農家から大量の菅笠を買い敵味方の区別なく配った事や、秀吉の可愛がっていた鶴が飼育係の不注意で逃げてしまった時も「日本国中がわしの庭じゃ。なにも籠の中におらずとも、日本の庭におればよい。」と笑って許した、など「人たらし」ならではのエピソードが残っています。

最近では、多くの芸能人から好かれている嵐の二宮和也さんや、先輩芸人や大御所にも毒舌で絡む有吉弘行さんが「人たらし」だと言われたり、ドラマ『リーガルハイ』に出演中の岡田将生さんは「誰とでもボーダーレスに付き合うことのできる“天性の人たらし”の弁護士」を演じています。

誰もが憧れ人間的魅力を備える「人たらし」になるためには、相手を気持ちよくさせるコミュニケーション能力と屈託のない笑顔が必要とされています。
ですが、簡単に身につくようなものではなく、先天的なものや、その人の生まれ育った環境で少しずつ構成されていくようなものではないでしょうか。